糖尿病とミトコンドリア

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糖尿病とミトコンドリアの関係

糖尿病とミトコンドリアには深い関係があった!

 

〇糖尿病の原因
糖尿病の原因のひとつは、膵臓のβ細胞の働きが低下し、血糖値を下げるインスリンが出なくなることです。
年をとると発症しやすくなり、インスリンを出すためのエネルギーを作る「ミトコンドリア」の機能低下が関わっていることが知られていましたが、詳しいメカニズムは良く分かっていませんでした。

 

ミトコンドリアの機能維持が新たな治療標的となる可能性として最近の研究結果で分かってきました。
細胞内小器官のひとつである「ミトコンドリア」は生体活動に不可欠なエネルギー産生を担い、β細胞のインスリン分泌においても重要な役割を果たしています。
このミトコンドリアの機能を維持するため、機能不全に陥ったミトコンドリアをオートファジーで分解処理する「マイトファジー」というメカニズムが働いています。
過去の研究で、がんの抑制や老化に関係する遺伝子「p53」が過剰に増加し、マイトファジーを抑制し、ミトコンドリアの機能低下を引き起こしていることが分りました。
糖尿病のマウスや膵β細胞株を用いた実験では、マイトファジーが減少し、ミトコンドリアのエネルギー産生能力低下し、インスリンが作られなくなることが糖尿病の原因であることが判明しています。
この研究により、膵β細胞のミトコンドリアの機能低下の一因が明らかになり、細胞に備わっているミトコンドリアの機能するマイトファジーがうまく働くなるメカニズムであることが解明されました。

 

 

〇ミトコンドリア糖尿病
このミトコンドリアDNAの変異によって発症する糖尿病をミトコンドリア糖尿病と呼びます。

 

この病気の患者さんは日本にどのくらいいるの?
ミトコンドリア糖尿病患者は見逃されているケースが多く、日本の糖尿病患者の約1%存在すると言われています。
これは単一遺伝子による糖尿病としては最多です。
また、ミトコンドリアDNAは後天的な変異(体細胞変)を起こしやすい特徴を持っていますので、老化と共に変異が蓄積し、ミトコンドリア機能に障害を及ぼす可能性もあります。

 

この病気はどのような人に多いのですか?
母親もしくは母方に糖尿病の多い家系で発症する可能性があります。

 

この病気の原因はわかっているのですか?
ミトコンドリアは16,569塩基対からなる独自のDNAを持っています。
このDNAに変異があり、膵β細胞の機能が十分維持できなくなり、インスリン分泌能が低下すると糖尿病が発症します。

 

最も有名なのが3243A→Gの変異です。
細胞内に複数個存在するミトコンドリアDNAは、必ずしも全てのDNAに変異が存在するとは限らず、正常DNAと変異DNAが混在するヘテロプラスミーという形を取ります。
膵β細胞における変異DNAのコピー数が多くなると糖尿病が発症するという、多数決のようなことをしています。
白血球の3243変異率が高値であるほど発症年齢が若い事も言われています。

 

この病気は遺伝するのですか?
ミトコンドリアDNAは母親からのみ遺伝しますので、母系遺伝の形式をとります。
つまり、母親がミトコンドリア糖尿病であった場合、その子供もなる可能性がありますが、必ずしも全例ではありません。
先述のとおり、ミトコンドリアDNAはヘテロプラスミーで多数決をしています。
変異のあるミトコンドリアDNAが多数コピー母から子へ受け継がれ、膵β細胞に十分量の変異ミトコンドリアDNAが集まった際に発症します。

 

この病気ではどのような症状がおきますか?
糖尿病としては1型糖尿病、SPIDDM、2型糖尿病と多彩な病型を示します。
症状としては高率に感音性難聴を伴うのが特徴です(約90%)。また、心筋症や心刺激伝導障害、脳筋症の症状も他の糖尿病型よりも高率に認めます。

 

この病気にはどのような治療法がありますか?
■インスリン療法
ほとんどの例がインスリン療法を余儀なくされます。
早期から強化インスリン療法を行い、残存する膵β細胞の負荷を取る事が重要です。

 

■薬物療法
ミトコンドリアの電子伝達系をサポートするコエンザイムQ10大量療法が試された事もありましたが、十分な治療効果は得られていません。
また、他の抗糖尿病薬によるミトコンドリア糖尿病の治療報告もありませんが、病態に応じてインスリン療法と組み合わせる価値はあるかもしれません。

 

この病気はどういう経過をたどるのですか?
ほとんどの症例で病期が進むにつれインスリンが不可欠になります。
また、他の糖尿病と比較して、神経障害・網膜症・腎症といった細小血管合併症が進行しやすい特徴があります。
より厳格な血糖コントロールと定期的な検査が必要です。

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