アルツハイマー病とミトコンドリアの関係
アルツハイマー病とミトコンドリアには深い関係があった!
ミトコンドリアはエネルギー(ATP)産生の中心を担うオルガネラであり、電子伝達系より漏れ出た電子を酸素が吸収することにより、活性酸素を発生させます。
ミトコンドリアのクエン酸回路のDLST(dihydrolipoamide succinytransferase)遺伝子と,ミトコンドリアALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)の遺伝子のそれぞれの多型が、アルツハイマー病の危険因子となることが見出されました。
DLST遺伝子には2つの遺伝子産物があり、新しく発見したDLST遺伝子産物MIRTDは、シトクロムc酸化酵素の分子集合に関与することが明らかになり、
ALDH2は、酸化ストレスの防御機構として働いていることを明らかにし、ALDH2酵素活性低下がアルツハイマー病発症の原因となりうることを示しました。
最近になって、アミロイドβペプチドが神経細胞のミトコンドリア内にも存在することがわかり、アルツハイマー病の特異性とミトコンドリアの役割が関連づけて議論できるようになりました。
九州の某大学では、ミトコンドリアDNAを安定に保つことでアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの蓄積が抑制され、神経細胞間で刺激を伝達する神経突起の伸長が促進されることを発見したと発表されています。
アルツハイマー病患者の脳では、アミロイドβの蓄積によりミトコンドリア機能が低下するために活性酸素の生成が亢進していることが判明しています。
活性酸素は、ミトコンドリア機能を維持するうえで重要な核酸やタンパク質、脂質などといった分子を酸化するため、ミトコンドリア障害の悪循環が神経変性の原因と考えられているが、ミトコンドリア機能を維持することでアルツハイマー病の症状や神経変性が改善されるかどうかは今まで不明とされてきました。
しかし、ミトコンドリアは、酸素呼吸によりブドウ糖から細胞が必要とするエネルギー(ATP)を作り出し、同時に活性酸素も作り出すため、生成を亢進させないためには、ミトコンドリアのDNAを安定に保つことが不可欠であると解明されました。
すなわち、健康なミトコンドリアを増やすことで「アルツハイマー病」の予防につながるのです。